Wilson ULTRA100 V3.0は管理人がしばらくメインで使用していたラケットです。使用感や特徴を紹介していきます。
wilson|ULTRA100 V3.0|インプレッション
ULTRA100はこんなラケット
- 面ブレしない強靭なフレーム
- 振り抜きやすい黄金スペック
デザイン
スペック
重さ:300g
バランス:320㎜
長さ:27inch
ストリングパターン:16×19
厚さ:24㎜–26㎜−23㎜
テクノロジー
PWS
PWSはウィルソン製のラケットの象徴と言えるテクノロジーです。
ウィルソンのラケットはフレームの3時、9時がポコっと膨らんでいるイメージがあると思います。そのテクノロジーの名称です。ねじれに強くなる特徴があります。
今作のULTRAにはその膨らみがありません。
フレームサイド部分のカーボンの質量を上げることにより、PWSを内蔵化し膨らみを出さなくてもねじれに強いフレームになっています。
また、今まで膨らんでいたところがむしろ凹んでいます。これにより横糸が長くなる為、ボールを打った際のたわみ感が大きくなり、ボールとの接触時間が長くなります。
CRUSH ZONE
CRUSH ZONEとは、フレーム下部の青いグロメット部分に搭載されており、バボラのウーファーのようにボールを打った際に樹脂部品が潰れ、形状を戻す力がバネのような役割をすることにより、パワーを付与するテクノロジーです。
前作にも搭載されていましたが、今作はこのCRUSH ZONが大きくなり、前作よりもパワーアップしているとのこと。
このラケットはフェイスが100スクエアinchですが、103スクエアinch相当のラケットと同等のパワーが出せるそうです。
使用感
ストローク
打球感
フェイスのたわみ感が強く、ボールとの接触時間が長い為、グッとボールを乗せられる感覚があります。
その為、打球感的には柔らかいと思える反面、ややボールが重く感じます。また、スイートスポットを外すとフレームが硬い分、打球感も硬くなります。
反発性
反発性はかなり高いです。
合わせるように軽く打ってもしっかり飛んでくれます。よく飛ぶということはアウトが増えるのではと思いきや不思議と収まりは良いです。
軽く振った時はしっかり飛んでくれ、しっかり振った時は収まるので、ボールの着弾点が安定しやすいです。
スピン性能
スピン性能は普通です。
引っかかり感はあまり感じませんが、自然に打ってもある程度は掛かります。しかし、回転量を上げて山なりのボールを打とうとすると高さのコントロールが難しく感じました。
感覚としてはボールの接触時間が長いが故に球離れのタイミングが分かりづらい印象です。
一方フラットドライブの再現性は高く、ネットのそこまで高くない位置を安定して通せる安心感があります。
スピン系のプレーヤーよりフラットドライブ系のプレーヤーに合うラケットだと思います。
振り抜き
フレームも厚く、がっしりしたラケットの為、形状的には振り抜きは良くないように見えますが、実際に振ってみると振り抜きやすいです。
というのは、このラケットは意図的にスウィングウェイトが軽めに設計されていると感じます。複数の店舗で実測してもらうと270g台の個体が多かったです。重くても280g前半が殆どでした。
一般的な黄金スペックのスウィングウェイトは290g弱位の個体が多い為、比較するとやはり軽く設定されているのだと思います。
面安定性
面安定性の高さは抜群です。
このラケットの1番の特徴であり、黄金スペックのラケットの中でもトップクラスです。多少外しても面ブレすることなくボールを返すことができます。
返すことはできますが、外すと打球感が硬くなるところは注意が必要です。
ボレー
ボレー専用の黄金スペックと謳っているだけあり、すごく打ちやすいです。
フレームが強靭な為、反発力が強く、多少外したくらいではびくともしません。反発力が強い分飛びすぎると思いきやストローク同様、不思議と収まりが良く、このラケット特有の面のたわみ感でボールを持ってくれるのでコントロールもしやすいです。
また、このラケットはカタログ上ではバランスが320㎜となっていますが、実寸値だと315㎜位の個体が多く、他の黄金スペックより手元に重心がある為、操作しやすいです。
適度な反発力、面の安定性、球持ち感、操作性の良さ、ボレーが打ちやすくなる要素が全て持ち合わせています。私がこのラケットをメインで使用していた1番の理由はボレーの打ちやすさ秀逸だったからです。
サーブ
振り抜き
サーブの振り抜きについては普通です。
厚みのあるフレームですが、特に振り抜きづらさは感じません。ただし、振り抜きやすさも感じません。
スピード
弾きの良いラケットなのでスピードは出ます。
また、
・ストリングのダンピングにより接触時間が長い。
・フレームの剛性が高くしならない為、面の安定性が高く、再現性が高い。
以上の特徴から、高さのコントロールがしやすいです。
速いサーブを高確率で入れやすいラケットだと思います。
回転
スピードが出やすい分、回転は掛けやすくはありません。
特にスピンサーブの跳ね方は控えめでした。ただ、このラケットの特徴である接触時間の長さから、接触時間の中で回転は掛けることはできます。
とはいえ、このラケットを使うのであれば、回転量は程々にスピードに割り振った方が効果的だと思います。
まとめ
良かった点
- 面の安定感が高く、ショットの再現性が高い。
- ボレーのしやすさはトップクラス。
- 黄金スペックの中では振り抜きやすい。
注意点
- 回転をかける際の引っかかり感はあまりない。
- 極端に剛性が高い為、硬質感のある独特な打感。
競合商品
バボラ ピュアドライブ2021
ピュアドライブの方が球離れが早く、スピード感のあるシャープな打感です。
一方、ULTRA100の方が接触時間が長く、押して運べる安心感があります。
引っかかり感はピュアドライブの方が強いです。
スピンを掛けることに重きを置いている人、ボールのスピード感を求めている人はピュアドライブの方がマッチすると思います。
プレースメントを求めるフラットドライブ系プレーヤーはULTRA100の方がマッチする人が多いと思います。
EZONE100 2022
ULTRA100に比べるとEZONE100の方がフレーム自体の柔らかさを感じることができます。
どちらともボールの接触時間が長く、ホールド感のある打感ですが、質はかなり異なります。
ストリングのたわみによるホールド感はULTRA100の方が分かりやすく、フレームのしなりによる柔らかさはEZONE100の方が分かりやすいです。
フレーム自体にパワーを求める人はULTRA100、フレーム自体に柔らかさを求める人はEZONE100の方がマッチすると思います。
ULTRA100 V3.0対象プレーヤー
- とにかくラケットにパワーを求めている人。
- ボレーが苦手で悩んでいる人。
- 面を合わせるように打つ人。
上記に該当する人は是非一度使ってみて欲しいです。特徴がはっきりしているラケットなので、合う合わないは分かれますが、上記の人にはマッチする可能性が高いと思います。
善かれ悪しかれしなり感が殆ど感じられないラケットであり、パワーに重きを置いている為、しなりを駆使するプレーヤーには合わないかもしれません。
しかし、このラケットは剛性の高さだけではなく、たわみ感による接触時間の長さがある為、パワーとコントロールの両立がうまくできていると思います。
是非一度使ってみてください。
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